ヘルシンキの公共交通機関とHSLアプリ

2019年02月18日

1. ヘルシンキの公共交通機関

ヘルシンキの公共交通機関はHSL(ヘルシンキ交通局)の管轄で、バス、メトロ、トラム、電車があります。

利用者は乗車前にきっぷを購入しますが、メトロ、トラム、電車の場合フィンランドには改札がないので、きっぷを見せるのは車内またはホームで巡回している検札係に遭遇した時のみです。バス乗車時は運転手に提示します。検札時に正しいきっぷを所持していないと罰金80ユーロが科されます。

きっぷはメトロおよび電車の駅にある券売機、R-kioskiというキオスク、バスの運転手、チャージ式の日本でいうSuicaと同様のHSLカードと、SMS、HSLのモバイルアプリから購入ができます。同じきっぷでもどこから買うかによって値段が異なります。

HSLはこれまで主流だったチャージ式のHSLカードからモバイルアプリでのきっぷ購入にシフトするようポスター等で市民に呼びかけています。以前は可能だったトラムの運転手からの購入が廃止になったほか、券売機が設置されているトラム停留所が稀で、簡単にインターネットにつなぐことのできない観光客やフィンランド国内の別の街からヘルシンキに来るフィンランド人にとってもなかなか難しいシステムではないかと思います。

2. HSLアプリとモバイルきっぷ

インターネットつなぎ放題の格安スマホプランを利用している私やその他多くのヘルシンキ市民にとって、HSLモバイルアプリはチャージする手間もなくスマホだけで購入と決済ができるので非常に便利です。

このアプリは2015年11月に導入され、2017年には70万人以上がこのアプリできっぷを購入、2018年3月時には90万ダウンロードがされています。

3. HSLアプリできっぷを買う

下はアプリのスクリーンショットです。

シングルチケット購入の場合は、画像左の一番上のボタンをタップし画像中央の画面を出します。そこからきっぷの利用エリア、利用者グループ、きっぷの有効期限開始時間、あらかじめ登録してある支払方法から好きなものを選択し、"Go to payment"を押し、決定を押すと画像右の画面が出ます。この画面がきっぷです。"HELSINKI"の文字の下の絵柄は回転しており、時間によって色が変わる仕組みになっています。GIF動画を作ってズルができない仕組みになっていると思われます。

このアプリで1〜7日乗車券と30日間の定期券の購入もできます。

複数人で移動する場合は、代表者が一台のスマホできっぷを複数枚購入することも可能です。まとめて2枚以上の購入はできないので、1枚ずつ購入手続きをします。

4. モバイルきっぷの利用

検札係が来たら上画像右の一番下にあるボタンを押すとQRコードの画面になり、それを読み取ってもらいます。

きっぷ購入にはインターネット接続が必要ですが、きっぷ購入後にスマホのバッテリーが切れた場合は検札係にきっぷを購入したスマホの電話番号を伝えればチェックができるシステムです。

きっぷは80分有効で、購入したきっぷの利用エリア内ならどの乗り物でも乗り放題です。乗車時にきっぷが有効であればよいので、乗車中に期限が切れても問題ありません。

利用エリアはヘルシンキに加え、エスポーやヴァンターなど首都圏から選択ができます。ヘルシンキからヴァンター市にあるヘルシンキ・ヴァンター空港へ電車で移動する場合など、複数の市にまたがって旅をする場合は"Regional"チケットを購入します。

5. HSLアプリのその他の利用

このアプリではきっぷの購入以外に、通行止め情報やキャンセルになったバスなどのニュースを見たり、乗換検索をすることができます。

フィードバックの送信や言語の設定も簡単にできます。

6. さいごに

モバイルきっぷアプリは市民にはとても便利です。ストックホルムでも同様のサービスがあり、フィンランドで契約しているスマホプランでEUのインターネットも込みになったので先日利用しました。インターネット接続と少なくとも英語の理解ができてこそのサービスですが、インターネットやモバイルサービスの先進国らしいものです。

システムはハイテクでも、バスや電車の遅延は当たり前。夜のバスは利用者が少なく、時刻表より早く出てしまうこともしばしば。アナログの部分はまだまだ改良の余地があるヘルシンキです。



写真:www.hsl.fi, HSLアプリ, Ikada

参照記事:https://vuosikertomus.hsl.fi , https://www.hsl.fi/search/solr?keywords=mobiililippu