ヘルシンキで新ブーム!シェア電動スクーター

2019年05月23日

はじめに

今年はヘルシンキの街中で電動スクーター(キックボード)に乗っている人をたくさん見かけます。

HSLのシェアサイクル(シティバイク)※ 参照: ヘルシンキのシェア自転車サービス が夏のヘルシンキの風物詩となってきたところですが、シェアブームに新たな乗り物が登場しました。スクーターをよく見ると、形は同じでも赤や緑だったり、違うロゴ付きのものが走っています。

1. ヘルシンキに参入している会社をご紹介

VOI

  • スウェーデン発
  • 2018年11月ヘルシンキに登場(約200台)
  • ヨーロッパ6ヶ国で展開
  • 料金:アンロック1ユーロ+0.25ユーロ/分
  • ※ 5月30日現在、1分あたりの利用料が0.20ユーロに変更

TIER
  • 2018年ベルリン発
  • 2019年3月ヘルシンキに登場(150台以上)
  • 世界22都市で展開
  • ヘルシンキでの利用可能時間は7:00 - 22:00
  • 料金:アンロック1ユーロ+0.15ユーロ/分

Hoop

  • フィンランド発
  • 2019年5月ヘルシンキに登場(100台)
  • ドバイとヘルシンキで展開
  • 市内30ヶ所あるHoop Stopにパーキングするとパーキング料金が0〜0.80ユーロ
  • 料金:Hoop Stop外パーキング1ユーロ+0.15ユーロ/分

HSL

  • ヘルシンキ交通局とSamocatの共同運営
  • 2019年4月末頃〜10月31日の期間限定
  • Vuosaariエリアのみで展開(ステーション28ヶ所)
  • 電動スクーターと普通のスクーターがある(合わせて300台)
  • 料金(電動):最初の5分1ユーロ+0.15ユーロ/分
  • 料金(普通):最初の5分0.50ユーロ+0.05ユーロ/分

2. 利用手順

利用手順は全社共通で以下のようになっています。


  1. まずはアプリをダウンロード。
  2. 支払い用のカードを登録。
  3. アプリを起動し、現在地近くにあるスクーターを見つける。
  4. アプリ内で利用したいスクーターをタップするとQRコードのスキャン画面が出る。
  5. スクーター本体についているQRコードをスキャンしてスクーターをペアリングしアンロック(ロック解除)。
  6. 乗車。速度はハンドルのレバーとフットブレーキで操作。
  7. 決められたエリアに駐車して返却。

※ 以下画像はVOIの例です。

3. 全社共通の条件と特徴

  • 料金はアンロック代(またはパーキング代)+1分毎の使用料
  • シェアサイクルとは違いステーションへ返却が必要なく乗り捨てが可能
  • 速度は15〜25km/h
  • 利用者は18歳以上
  • 二人乗り禁止
  • ヘルメット着用

4. バッテリーはどうしてる?

VOIの場合、VOI hunterという登録制のバッテリー交換スタッフがいます。スタッフはVOI hunter用アプリを用い、空いた時間にバッテリーの少なくなったスクーターを見つけて取りに行き、自宅で一晩充電したのち翌朝指定エリアへ返却します。

バッテリー切れの時間の長さや置かれている場所の取りに行きやすさによって支払い額が3〜10ユーロと変化します。

Hoopの場合、Hoopがバッテリーを回収、交換を行います。

5. 実態と評判

地元メディアYLEの記事 ※フィンランド語

利用客は観光客などフィンランド人ではない人が多い印象です。上の記事にもあるように日々の交通手段として利用するには高額だという声が出ています。「めちゃくちゃ楽しい〜」と言いながら乗っているフィンランド人の中年男性を見たことがあるので、アクティビティとしてや、時折移動に利用するのにはいいのかもしれません。乗り放題の料金システムができるか、Whimへの組み込みが待たれます。

シェアサイクルは一時的に停車したり乗り捨てしたりすることも可能ですが、ステーションに返却するまでずっと料金が掛かります。ちょうどいい場所にステーションがないことも多く、なかなか目的地まで直接乗り付けることができないので、基本が乗り捨てのシェアスクーターはその点で便利です。

また坂道や橋を上るときは自転車よりも電動スクーターの方が漕がなくていい分楽ですよね。どの企業もヘルメット着用を利用条件にしていますが現状では誰も着用していません。

Hoopだけは他の3社とは違い、アンロック代ではなくパーキング代を徴収します。これは地方議会で議題になっている乗り捨て場所問題に対する解決策なのだそう。これについての地元メディアHSの記事。

6. 追記 2019年6月3日

スウェーデンで車とVoiユーザーが衝突しユーザーが亡くなる事故が発生。Helsingin sanomatの記事(フィンランド語)に事故原因についての記載はありませんが、急な坂の下の方での事故のため衝突速度が大きかったものと見られるとの一文があります。他にも、これまでスウェーデンでの電動スクーターの事故は年間10〜15件だったものの、今年に入ってすでに40件報告されている。多くのユーザーがスピードを出し過ぎ、ほとんどがヘルメットを着用していない。と書かれています。


写真:VOI, Ikada