Whimを利用してみました

2019年02月12日

はじめに

MaaSの最先端フィンランドの首都ヘルシンキで、Whimアプリを1ヶ月利用しました。

1. MaaSとは

MaaS("Mobility as a Service"の略)は別々の交通機関のサービスをひとつのモバイルサービスに集約し、経路検索からあらゆる移動手段の支払いまでをアプリ内で一度で全て済ませられ、旅の面倒さを排除するという画期的なサービスです。

例えば、タクシーはタクシー配車アプリを、電車はSuicaをチャージして使い、車のレンタルはレンタル会社のHPや店頭で申し込みをしている方がいたとして、アプリに券売機にHPで申し込みと全部が別々のシステムですよね。その全てがひとつのアプリでできてしまうオールインワンアプリがWhimです。

2. Whimとは

Whimはフィンランド企業のMaaS Global Oyが提供するモバイルサービス、すなわちスマホアプリです。2016年末に世界で初めて実用化されたMaaSで、ヘルシンキは最先端の街として注目されています。

Whimは下記の3つのプランから自分に合ったものを選んで使える仕様になっています。利用はいつでも始められ、やめられます。

  • Whim To Go

    • 月額料は無料で利用した分だけ支払います。特に割引き等はありません。
  • Whim Urban

    • 月額49ユーロ
    • HSLヘルシンキ交通局のシングルチケット(市内のバス・電車・地下鉄・トラムで80分有効)が使い放題
    • タクシーは5kmまで10ユーロ
    • レンタカーは1日49ユーロで利用可能
    • 初夏から秋にかけて設置されるシティバイク(参照: ヘルシンキのシェア自転車サービス)の最初の30分の利用が無料
  • Whim Unlimited

    • 月額499ユーロ
    • HSLヘルシンキ交通局のシングルチケット、タクシー(5kmまで)、レンタカー、シティバイクが使い放題

Whim To GoとUrbanのカーシェアがComing soonになっているので興味深いですね。

プランの変更はアプリ内で簡単に行え、クレジットまたはデビットカードは複数枚登録できるので、プライベートと仕事など用途に分けた支払いも可能です。

3. UI

すっきりしていて非常にわかりやすいデザインです。上の画像左がホーム画面で、画面一番上の検索フォームに目的地を入力すると経路・可能な交通手段・料金が表示されます。その他に住所のブックマークや、カレンダーとの同期機能もあります。 中央下の丸いWhimのロゴを押すと画像右の画面になります。項目は左からタクシー・公共交通機関・レンタカーです。それぞれをタップすると以下の画面になります。

タクシーの利用は画像左の配車画面から行います。一般的なタクシー配車アプリと同様にアプリ内に出発点と行き先を入力します。提携しているタクシー会社2社(もう1社増えるようです)の料金が表示されるので、好きな会社を選んで配車ボタンを押すと配車完了で支払いはもちろんWhim内で行えます。

画像中央はきっぷ購入画面です。

画像右はレンタカー。アプリ上で現在地の近くのレンタカーオフィスが探せます。オフィスのアイコンをタップするとレンタル可の車の車種と料金が表示されるので、好きなのを選んで予約ボタンを押せば予約が完了します。

4. 不便な点

不便な点は、WhimのHSLのシングルチケット使い放題 = HSLアプリの定期券ではないということです。Whimの提供している使い放題サービスはあくまでもシングルチケットなので、毎回80分で有効期限が切れます。80分経過後に再度乗車する際に新たなチケットを買わなければ、たとえ1ヶ月の使い放題を利用しているとはいえ無賃乗車になってしまいます。これが想像以上に煩わしく、実際にうっかり無賃乗車してしまったという話も耳にします。

Facebook上のWhimのレビューにはWhimがサクサク動かないせいで、シングルチケットの発行が乗車に間に合わず無賃乗車と見なされ罰金を払わされたとの恨みコメントも複数ありました。これはチケット発行が終わる前に乗車したユーザーのせいでWhimの過失ではないですが、月額料を支払っている側の悔しい気持ちはわからなくもないです。HSLアプリならば定期を買えば1ヶ月後に期限が切れるまでずっと有効なので、その間は何も操作の必要がなくずっと楽です。Whimにもこのシステムを導入されるようなので待ちたいと思います。

5. 利用した感想

1ヶ月利用したプランはWhim Urbanで、公共交通機関(HSLヘルシンキ交通局のシングルチケット)のみを使いました。HSLもきっぷアプリ(参照: ヘルシンキの公共交通機関とHSLアプリ)を提供しているので、以前はずっとそちらを使っていましたが、Whimが49ユーロで他のサービスも付帯しているのに対しHSLは定期券のみで54,70ユーロのため、乗り換えたという訳です。

タクシーの利用は必要がなく、自家用車と自転車を所有しているので、その月の私にはWhim Urbanがちょうど良かったです。今のところ自家用車と自転車を手放す予定はないため、完全にWhimに切り替えることは考えていませんが、持っていなければどんどん利用すると思います。

2017年11月に地下鉄が延長され、ヘルシンキの西側から隣町のエスポー市まで8駅増えました。(全部で25駅になりました)これによりバスの本数が激減した地域もあり一概には言えませんが、地下鉄の恩恵を受けた私にとっては2010年から住んでいてヘルシンキが格段に便利になってきているのを肌で感じます。

HSLのきっぷアプリが以前からあるので、私を含め公共交通機関だけで事足りる人にはWhimの特別さは薄いかもしれませんが、特に移動の多い忙しいビジネスマンにとっては移動費が安くなり、アプリ内に移動記録や領収書が残るので管理も楽です。スマホがアプリであふれることもなくストレス軽減になるので便利で画期的なサービスだと思います。



画像: https://whimapp.com, Whimアプリ